減塩食について
耳なじみのない言葉かもしれませんが、お年寄りに限らず気にしないといけない食事の方法。
正式には”腎UB食”ですが、いわゆる減塩食なので
通称”減ちゃん”と呼んでいました。
妊娠7ヶ月とか後期に入ってくると、むくみがあらわれやすく妊娠中毒症と診断される患者さんが多かったようです。
検査結果に時間を要するので疑わしい患者さんは念のため対象…という事になっていたり、
結構頻繁に作ってましたね。
具体的にどんな食事のルールかっていうと、
- 味噌汁・スープなどの汁物NG
- 一日あたりの調味料を制限(塩2.5g、砂糖8g、しょうゆ25cc)
- 肉は赤身肉やささみなどを使用
- 魚の干物や塩焼きはNG
- ベーコンやハムなどの加工品はNG
- 漬物・梅干・ふりかけなど塩分の多い食品は除去
- 油はソテー程度まで、揚げ物NG
- 市販のだしNG、天然だしを使用
水分・塩分は、とにかくむくみの原因になるということで提供は極力ナシでした。
酢は多少なら使ってもよいとされていましたが、使い過ぎは計算対象になっていたようです。
レモンを添えるメニューの時は多少安心しましたね
(薄味で提供しても何とかなるから)
まぁ調味料の制限は仕方がないとして、大変だったのはNG食品の代替食を考えること…
例えば、朝食で和食だと味噌汁とふりかけ、
洋食だとベーコンやチーズなどが毎食付くのですが
『減ちゃんの4番』として、野菜で作る小鉢を一品用意してました。
忙しい朝なので、こういうスタイル!というのがお決まりだったのです。
お肉の発注の電話でも毎回お願いしなきゃならないし、
お昼にサンドイッチや麺類がメインの時には全く違うメニューで考えたり
サラダも味付自体が毎回別ですが、一人分のマヨネーズを計ったり
ボイルする前の分量で一人前の数字が記載されているので
ほうれん草など別ボイルで下ごしらえしてました。
ついでに食材も一食分ずつ、すべて取り避けておいたり、と
朝食を提供した後に3食分の調味料を計量する、というルールだったので
100g秤が大活躍していました。
つわり食って
個人差で大きい小さいのある、なんとも不思議な症状ですよね…
普通は妊娠初期の1〜2ヶ月でおさまる、とか言いますが。
少なからず管理入院が必要なつわりの症状の人もいるわけで。
「お腹も出ていないのに、子供生むってこんなつらいんだ」と実感します。
とはいえ、私たちはマニュアルに従って提供するのがオシゴトです。
まずは、患者さんの部屋に伺って
- 主食(ごはん、ロールパン、おかゆ)から食べられそうなものを選んでもらう
- 全体の食事の量が初回1/4量、次から1/2量になる事を伝える
- 消化に悪い野菜・加工品の除去、揚げ物もNGというルールなので
常食の食事よりも物足りない食事になることを了承してもらう
- アレルギーや、どうしても食べられないものがあるか、どうか
…という項目を3日ごとに確認します。
すごくひどい症状の人だと点滴だけになったり
食べられるものがチキンラーメンだけって言い出したり…
まぁそういう時には出る幕ないので、絶食扱いで看護士さんの指示があるまで何もしませんけど。
本当にずっと吐いてばかりで部屋中酸っぱい匂いの中で暮らしている人とか
マタニティブルーというか不安定になる人とかいましたね。
長期に渡るつわりの末、退院せずにそのまま出産へシフトする可哀相な人もいました
つわりが終わった!と思ったら、その一週間後に逆流動性で吐き気が戻ってくる人とか
…安定期は一週間で終わりですか。
とはいえ、ほとんどの方はちゃんと残さず食べてくれて
「入院の必要ないんじゃ…」と思ってしまうほど明るく生活してましたよ。
入院しなくても世のママさんたちは自分と、
そして家族の協力を経て自力でなんとかしなければならないので大変ですよね。
『食べられるもの・好きなものを食べられる分だけ食べていい時期』とはいえ、
それが簡単じゃないから大変なんですよ。
一般的に冷たいものが口に入り易いそうなんですが
凍らせたパンとか
あと、炊飯器をリビングから遠ざけるために風呂場へ移動させるとか…
そもそも調理の匂いで気持ち悪くなるのでレンジ調理でできるものや
家族に協力してもらって作ってもらう事が必要な時期なんですね。
オペ食って
オペの種類にもいろいろありましたがダントツで多かった患者さんは
もちろん帝王切開です。
出産に関して各病院でのポリシーとか葛藤する部分も多いらしいのですが
ちょっとでもリスクのある患者さんはあるボーダーラインでオペにしなくてはいけないそうです。
他にも婦人科系の、子宮筋腫・卵巣脳腫・子宮外妊娠・卵管結紮という手術の種類がありました。
とはいえ、食事形態はみんな同じです。
子供が生まれる帝王切開の方にだけ祝い膳の準備があるのが違うとか、退院時期が違うとかその位です。